ICT機器の積極的な活用を図る
ICTは、Internet Communication Technologyのことなので、コミュニケーションを図るために「双方向につなぐ道具」と捉えられます。
つまり、ICT機器は、先生から子供へ「教える道具」として存在しているのではなく、主に思考力・判断力・表現力等で子供自身が活用する「学びの道具」として位置付くことになります。
体育では、子供同士による運動観察を通じた情報交換や学んだことの履歴化が求められます。先生が子供を見取るだけでなく子供にも運動観察の学びが必要になるので、ここに ICT機器がどうかかわるかがカギとなります。
ICT機器が媒介することによって、それまで見えなかった課題が見えるようになる場合もあるでしょう。しかし、見えるようになるためには運動を「やってみる」実践が基本であり、ICT機器はその課題解決のための一つの方法に過ぎません。
その際は個人の身体能力が公に晒されることになるため、学習状況を保存すること自体にも配慮は必要です。
ICT機器を活用するには、協働的な学びが十分になされないと運動の撮影や分析が逃げ場になってしまう危惧があります。運動の苦手な子供が「やりたくないな~。苦手だから撮影役に回ろう」という状況です。一方、技能の高い子供が得意になって友達の撮影ばかりして教え役になっていることもあります。
映像には多くの情報があるので、子供が本当に見なければならない所はどこなのか分からなくなってしまうことには注意すべきです。人間が意識できるのは、せいぜい1~2か所程度にとどまると考えられているからです。
一流のアスリートなど熟練した人は、映像を見て多くの情報の中から意識すべきポイントをいろいろと想像することができますが、経験が浅い人にはそれがなかなかできません。子供の学びも彼らの発達特性や旺盛な好奇心から「映像自体が楽しい」となりやすいことは、ICT機器活用の前提となる留意事項です。