割り算なら筆算のやり方を理解してゆっくりやればできるけど…
わり算の筆算をするときは、一つ一つの手順に基づいてゆっくりゆっくり進めます。位取りがよく分からない子供やかけ算が曖昧な子供でも、個別指導でなんとか商にたどり着けます。
72÷3の場合を考えてみましょう。まず、①十の位の7を3でわり、十の位に2をたてる、②3×2、③7-6で、まず、十の位の計算を終え、次に、④一の位の2をおろす、⑤12÷3…と進めていきます。こうして割り算の筆算の仕方を理解し計算の技能が身に付くのです。
これと同じ理屈で、理解してから運動の技能を身に付けられるようにしようとしても、ゆっくりできない体育の特性がじゃまをします。
基本的の技である開脚跳びを割り算の筆算と同じように考えてみます。学習指導要領解説では、「助走から両足で踏み切り、足を左右に開いて着手し、跳び越えて着地する」となっていますが、具体的な映像がなければ、ほとんどちんぷんかんぷんです。
そこで、細かく局面で分析してみると、①自分に合った助走距離のところに立って跳び箱をしっかり見る、②踏み切り板できちんと踏み切れるように助走をコントロールして走る、③踏み切り板を両足で強く踏み切って体を前に投げ出すようにして両手で着手する準備をする、④踏み切った両足が跳び箱にぶつからないようにバランスよく左右に開く…となっていきます。
問題は、これらのポイントを理解させても「ゆっくりやってごらん」と言えないことです。