かかえこみ跳びは、基本的な技? 発展技? どっち?
跳び箱運動の技能として例示されているかかえこみ跳び。以前は、閉脚跳びと言われていたこともあって、「開脚跳びならできたんだけどな~、閉脚跳びは・・・」と自分が子供のころを思い出す方もいるでしょう。
5・6年生の跳び箱運動の技能は、「切り返し系や回転系の基本的な技を安定して行ったり、その発展技を行ったりすること。」を内容としています。しかし、「実際にどんな技を授業で扱ったらいいのかな?」ということは学習指導要領には、記載されていません。
そこで、解説体育編の登場となります。解説には、5・6年生の内容を身に付けるのに適当と考えられそうな技としてかかえこみ跳びが示されています。
しかし、このかかえこみ跳びが、内容に示す「基本的な技」なのか「発展技」なのか、混乱しているということはないでしょうか?
解説は、この点で、ちょっと意地悪にできています。よ~く読まないと、かかえこみ跳びが「発展技」の例示として記載されていることに気付きません。
「高学年では、どんな技を扱うのかな?」とばかり考えていると、技としてかかえこみ跳びだけがいきなり例示されているように読めてしまいます。そのため、「高学年の基本的な技は、かかえこみ跳びだけか~。子供たち全員に身に付けられるようにするのは、難しいなあ。じゃ、どうしたら…」と勘違いしてしまうことがあるのです。
かかえこみ跳びは、そもそも「発展技」なのですから、それは難しいに決まっています。解説の5・6年生のページには、「発展技」の例示しか記載されていません。そのため、高学年の授業づくりでは、「発展技」ばかりを取り上げることがないように注意して解説を読む必要があるということです。
では、5・6年生の「基本的な技」は、解説のどこに例示されているかというと、それは、3・4年生のページです。3・4年生のページには、跳び箱運動の「基本的な技」として、開脚跳びや台上前転、首はね跳びの3つが例示されています。
ですから、これらの「基本的な技」を安定して行うことができるようにすることも、5・6年生の跳び箱運動の目標にできるというわけです。「基本的な技」を安定してできることに苦手意識のある子供への配慮の例も、もちろん、3・4年生のページにしか書いてありません。