安全確保につながる運動
5・6年生の水泳運動領域に、平成29年版の学習指導要領から新たに加わったのが「安全確保につながる運動」です。
水の中という特殊な環境の中での楽しい活動の反面、生命にもかかわる運動領域です。「安全確保につながる運動」は、そのような環境の中で安定した呼吸の仕方を身に付けられるように意図した運動です。
「安全確保につながる運動」の基礎となるのは、3・4年生で学ぶ「もぐる・浮く運動」や「浮いて進む運動」でしょう。
「もぐる・浮く運動」では、補助具を使ったり背浮きをしたりするなどいろいろなもぐり方や浮き方を通して、「どうやったらうまく呼吸できるんだろう」「息をいっぱい吸った後、止めていれば、体が浮いてくる」というようなことを水の浮力を体感しながら学びます。
従前の平成20年版の学習指導要領では「浮く・泳ぐ運動」という領域の名称でしたが、ここに「もぐる」が入ってきたことは、呼吸の調整を大きな一つの目的としていることが伺えます。
また、「浮いて進む運動」では、補助具を用いての呼吸や仰向けの姿勢での初歩的な泳ぎなどが学習内容ですが、これらの運はが「安全確保につながる運動」にも発展していきます。「浮いて進む運動」という名称から、クロールや平泳ぎにつなげられるようにすることばかり考えてしまいがちですが、浮いた姿勢で呼吸をしながら手や足を使って進む初歩的な泳ぎを身に付けることが目標です。そこには、水中でも安定した呼吸ができるよう求められています。
解説体育編では、平成20年版と同様「なお書き」で、「着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方」について各学校の実態に応じて取り扱うこととしています。着衣泳は、必ず実施しなくてはならない内容ではありませんが、「安全確保につながる運動」との関連を図って積極的に取り扱うことになっています。
そのため、「着衣泳さえやっておけば『安全確保につながる運動』をクリアしている」とは言えなくなったのです。