ICT機器をどのように学びに取り込むべきか
GIGAスクール構想により子供たちに一人一台の端末が使える環境が整ったことに伴い、これまで紙ベースで行われていた学びに変化の波が押し寄せています。
平成29年版学習指導要領解説体育編では、試技やゲームの様子を撮影して、自分の課題を見い出せるようにしたり、できばえを確認できるようにしたり、さらには、友達に考えを伝え合ったりするような例示をしています。
しかし、こうした動画撮影による学びは、GIGA以前から取り入れられていた授業風景です。コンパクトなビデオカメラや提示器具などを使って実践されていました。GIGAのような一人一台のタブレットが無かったというだけの話です。
ICT機器の活用に関しては、動画撮影による課題解決だけが解説体育編に例示されていることからか、「ほかの学習場面へのタブレットの活用」に二の足を踏んでいる傾向も見られます。たとえば、紙ベースの「学習カード」を使っていたところをタブレットに置き換えられないか、いろいろ指導方法の工夫にチャレンジしてみることが必要です。その中から、より効果的なICT機器の学びへの活用の在り方を、学び手である子供自身が見付けたり考えたりできるようにすべきでしょう。
それには、ICT機器のどのような使い方があるのか、まず子供が「やってみる」ことからスタートです。「やってみる」ためには、体育の時間には「いつでもそばにある」ことが前提になります。そこから、子供自身が「うん、いま、タブレットを使おう!」と思えるように指導者が支援することになります。
指導者にも「やってみる」意識が欠かせません。しかし、それを「さあ、今から、タブレットを使いましょう!」といつまでも指導者が使い方や使う場面を指示していたとしたら、どうでしょう。子供にはICT機器を活用する必要感がないままに陥って、情報活用能力も身に付かないことになってしまいます。