ピッチ? ストライド? 速く走れるようになるには?
速く走ることは、人間にとっての大きなテーマです。
狩猟が中心の時代には、獲物となる動物を追いかけるだけのスピードが必要で、これが競走、追いかけっこです。それに負ければ、肉が食べられなくなるという重要な運動でした。
時間との競争でも速く走ることは求められました。戦いに勝ったことを知らせるため約40kmをできるだけ速く走った戦士の話から、マラソンという競技が生まれました。太宰治の「走れメロス」でも、自分を信じて疑わない友人の命を救うために、体力の限界にまで走り続けます。
走る速さは、ピッチとストライドで決まります。ピッチとは、1秒間に何歩進んだかを、ストライドは、1歩で進んだ距離をあらわします。ピッチが速ければ速いほど、つまり「トーントーン」と走るよりも「タッタッタッタッ」のほうが速く走ることができます。また、ストライドについては、1歩が大きいほど速いことになります。1歩で30cm違えば10歩で3m、50歩では15mもの差になります。
「トレーニングを積んでいくと、ピッチにはそれほど変化は無いが、ストライドが伸びる」という報告があります。100mで初の9秒の壁を破る日本記録を出した桐生祥秀選手のピッチと6年生のピッチは、それほど変わることはないそうです。誰もがたいていは1秒間に「タッタッタッタッ」と4歩ぐらいで走るのです。
桐生選手のように速く走れないのは、ストライドが決定的に違うからです。ストライドを伸ばすために足腰だけでなく上半身も鍛えなくてはなりませんが、体の発育が十分でない小学生には、ここまでは無理です。