言葉ではイメージできない「こんな動き」を視覚化して示す
「前向きのまま、回転する方向に足を振り上げると同時に両手も振り上げ、体を細くするようにして3回半まわって、踏み切り足と逆の足で後ろ向きに着氷する」技とは? と、問われてもすぐにピンときませんが、「トリプルアクセル」と聞けば、自分ができるかできないかは別として「ああ、あんな運動なんだな」と映像のイメージが湧きます。

子供たちに「こんな運動」を提示するとき、運動の行い方に加えて、どこで、どんなきまりで行うのか、いちいち言葉で説明していたのでは、45分の中で運動する時間が短くなるばかりです。「こんな運動」を視覚化して子供たちに提示することで、運動する時間が確保されるばかりでなく、運動のイメージも湧いてくるよう授業を組み立てていきます。
輪を使って遊ぶ行い方として「転がす」「回す」などがありますが、この運動は図としてわざわざ視覚化しなくても大丈夫です。子供たちには「輪を転がす」イメージができるので、「できそうだ」「楽しそうだ」と思えるようにする目的以外にあえて提示する必要はありません。
「どうやったらうまく転がせるか」その動きに気付いていけるようにするためには図が必要になることがあります。そこに「体のどこをどのようにどの程度動かしたらいいのか」の動きに対する気付きを記録していくこともできます。しかし、1・2年生では、書くことが大変だったり記録すること自体が楽しくなってしまうことがあるので、オススメではないです。
後方支持回転のような技も「自分の体のどこにどんな力を入れたらうまくできるのか」を考えていくことが学習となるので技の図を掲示物や学習カードなどに示すことがあります。このとき、技のポイントが初めから書いてあるような図では、学習すべき内容を子供から奪ってしまうことになるので要注意です。