「見方・考え方」を働かせるとは?

子供の学び,学習内容学習指導要領,思考力・判断力・表現力等,見方・考え方,遊び

平成29年版学習指導要領の各教科等の目標には「見方・考え方」という言葉が示されています。体育科の目標では、「体育や保健の見方・考え方を働かせ、…」ですし、算数では、「数学的な見方・考え方を働かせ、…」となり、図工では「造形的な見方・考え方を働かせ、…」です。どこを見ても「見方・考え方」は、「働かせる」です。

平成29年版の学習指導要領では、「『身に付ける』ことができるようにする」などと「身に付ける」をよく使っていますが、「身に付ける」と「働かせる」とでは明らかに違いがあります。総則に「見方・考え方が鍛えられていくことに留意し…」という表記があるように、小学校に入学する前からもともと持っている「見方・考え方」をよりよいものにしていこうという意味合いが「働かせる」にはあると考えられます。

つまり、入学する前「見方・考え方」を「働かせる」ことは、素朴で不完全ながらすでにできているのであって、これを小学校では授業を通して、体系的な各教科等の学びに落とし込んでいくことになります。各教科等の「見方・考え方」を「働かせる」ことで学んでいくという構図です。学ぼうとするときに「見方・考え方」を「働かせる」ことが前提で、そのことによって「見方・考え方」は、洗練化・統合化され磨かれていくのです。

例えば、水たまりが目の前にあったとして、「この波紋は、同心円状に広がっている。」と感じれば、それは算数であり、「この波紋、デザインとして美しい。」と感じれば、図工になります。「この程度なら、走って跳び越えられるかな?」という「見方・考え方」であれば、それは、体育としての学びにつながります。

このように、各教科等の目標を達成するためには、教科等の本質にかかわる、その教科等ならではの「見方・考え方」を「働かせる」ことが重要と言えます。資質・能力を身に付けるためには「見方・考え方」を「働かせる」ことができるよう支援することが指導者に求められているということになります。

「見方・考え方」は、小学校に入ってから教師が「育成する」ものではありません。子供が「働かせる」ものなのです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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