子供は坂道マットをどのように使うのか
踏切板などをマットの下に入れて、傾斜のあるマットの場を用意することがあります。子供たちにはどのように映るのでしょうか?
3年生以上が学ぶマット運動では、坂道マットによって「回転のスピードを補う」ことが利用価値です。たとえば、後転にチャレンジしている場合なら、自分自身で後ろへの回転のスピードが付けられないなどの状態を補うために「坂の上から」転がるようにします。マットの傾斜を利用して回転に勢いを付けようというねらいです。坂を転がるときの加速度を回転のスピードに転化するのです。
このとき、「坂の上から」が重要なポイントになります。「坂の手前の床面から」転がり始めては、意味がありません。最初の姿勢で腰の位置が高くなってしまうために、むしろそちらに回転スピードが奪われてしまうことになるからです。「技ができるようになるため」に、場の条件を易しくして取り組む学びになるので、「坂の上から」です。
しかし、1・2年生が学ぶマットを使った運動遊びの場合では、坂道マットは、遊びの場となります。「あそこで転がったら、どうなるなんだろう」という感情が、「やってみたい」を引き起こします。ここでは、マット運動のように「技ができるようになるため」という制約は、生じません。
1・2年生は「坂の上から」転がってみるだけでなく、「坂の手前の床面から」も転がってみることでしょう。その両方の動きから受ける感じや体の使い方の違いから、自分の体がどうなっているのかを実感します。
そして、もちろん、彼らは、「坂の下から」転がりながら上っていくような動きも試します。このとき指導者は「逆から行っちゃダメ」という余計な規制をしたくなりますが、それでは、子供の学びを阻害してしまうので、安全に気を付けて運動することを身に付けられるようにしておく指導が必要です。