運動会は、見せるためではなく、子供の学びのためにある
いつの時代の学習指導要領にも「運動会」の文字は、出てきません。「運動会」は、短距離走やゴール型ゲームなどのように体育科の内容に示されていないばかりか、特別活動にも「運動会」は、見当たらないのです。
学校行事の1つに健康安全・体育的行事がありますが、そこには「…運動に親しむ態度の育成、責任感や連帯感の涵養、体力の向上などに資する…」とあるだけで、実施上の留意点に体育的行事の1つの例として「運動会をやるならば、こういうことに留意してやるように配慮してね~」という趣旨が解説に書いてあるだけです。
「運動会」は、明治時代に行われた海軍兵学寮での「競闘遊戯」が最初と言われ、短・中距離走、走り高跳び、二人三脚などに加えて、油をぬってツルツルした子豚をつかまえる競争もあったそうです。初代文部大臣森有礼のとき運動会に兵式体操が加えられて全国の学校で義務化され、「気を付け」「前へ、ならえ」などの集団行動と、整然としたパフォーマンスを目指して子供たちをいかに統制するかが「運動会」の目的になりました。
その名残から、地域等への見栄えとともに、教師の言うことをよくきくキビキビと動ける子供を見せることに相当な時間と労力をかけた指導が散見されるようになります。 特別活動の意義である「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」が置き去りにされない「運動会」にしなくてはなりません。
なぜなら、そもそも「運動会」は、主役である子供たちが互いに学び合うための教育活動であって、参観者の満足のために行う興行ではないのですから…。