多くの技への発展する、疎かにできない「ゆりかご」の動き
1・2年生のマット遊びは、マットに背中を順番に接触させるなどの感覚を磨きやすい「ゆりかご」からスタートです。こんな動きです。
ここから「前転がり」や「後ろ転がり」などの動きを身に付けていくことになります。この「ゆりかご」ですが、ほかにバリエーションを思いつきますか?
3・4年生から登場してくる「前転」は回転系の基本的な技のうち前転グループに属しており、5・6年生ではこれを基にして「開脚前転」や「補助倒立前転」など前転グループの発展技として取り上げるようになります。
ところで、「正しい前転」とは、どのようにできればいいのでしょうか? 「しゃがんだ姿勢から手で支えながら腰を上げ、体を丸めながら後頭部-背中-尻-足裏の順にマットに接して前方に回転して立ち上がること。」と学習指導要領解説に示されていることから、「正しい前転」は、この技能ができることになります。
しかし、「体を丸めながら」回っただけでは回転の勢いが生まれません。腰を上げると位置エネルギーが運動エネルギーに変わるので回転はできますが、回転の勢いが衰えていくので、文章どおりに正しくやろうとするほど「前転」ができない方向に導かれていきます。
回転の勢いを自分で作り出すには、回転し始めたときにマットを後方に少し蹴り出すことが必要です。そのとき胸と膝、踵と尻の間が少し開くので、起き上がれそうなタイミングで胸と膝、踵と尻の間を一気に近付けことによる回転の勢いの感じを1・2年生の「ゆりかご」などのマット遊びで生み出せるようにしておかなければならないのです。
つまり、膝を抱えたままの「ゆりかご」ばかりやっていたのでは、マット運動の技につながっていかないということです。膝を抱えない「ゆりかご」を、遊びながら経験できるようにしておくことが大切になります。