微妙な高さが引き出す「できそうな気がする」動きの違いが、ゲームの様相をガラリと変える
7メートル先に提示されたバーを「くぐる」か「またぐ」を実験した人によると、被験者の脚の長さの1.07倍のところを境に、その判断が変わるという結果が出ました。
1.07という境界値より低い場合は「またぐ」運動を、それより高い場合は「くぐる」運動を引き出したと言うのです。身長の高い低いにかかわらず1.07であったことから、運動にふさわしい環境が提供されれば、引き出したい運動が展開されるという結果といえます。
ネット型で提供されるネットの高さは、身長の高さによって引き出される運動が左右されます。背の高い子供は「これなら、アタックが打てそうだ。」と思い、背の低い子供は「どうやったら、あの高さで打てるかな。」と考えるので、自己に合った課題や解決の方法が違ってくることになります。
どの児童にも「低い!」と思える高さのネットでゲームすると、きわめて攻撃的なゲームになります。誰もがネットを越えるようなボールを簡単に送り込むことができるからです。この場合、最もゲームがつまらなくなるのは、双方がサーブを打ち合うだけでラリーがまったく続かないケースで、「ラリーを続けよう」という学習課題は達成されることがありません。
逆にどの児童にも「高い!」と思える高さでは、守備的なゲームになります。どうしても高くボールを操作しなければならないため、ボールが落下するまでの時間があるので、落とさないようにハラハラドキドキする学習になります。 そのため、ラリーは続く可能性がありますが、攻撃はしにくいと言えます。
このようにネットの高さによって、子供から見た運動の特性が変わるので、ゲームの様相が変わると同時にゲームの規則も子供たち自身が変えなくてはならない必然性が生まれます。一般的特性からネット型の運動を見ていただけでは、子供が規則を工夫するような授業にはならないです。