綱引きに見る力強い動きを高める行い方

子供のからだ,学習内容体つくり運動系,体の動きを高める運動,学習指導要領,思考力・判断力・表現力等,技能,運動遊び

1年生と綱引きをする機会、みなさんはありますか? 5人の一年生と一人の大人が綱引き勝負すると、どっちが勝つでしょうか。

1年生の一人当たりの平均体重がおよそ20kgとして、5人いればその5倍の100kg以上です。大人一人の体重をはるかに上回っていますが、結果は常に大人の勝ちとなります。

「社会的サボり」であるリンゲルマン効果を差し引いて、さらに、履いている靴の性能の差を考慮したとしても勝負は見えており、歴然です。そこには、大人が身に付けている足の踏ん張り方の技能が影響しているようです。

休み時間に綱引きができる環境があると、その綱に集まってきた子供だけですべて遊びは運営されていきます。学年も人数も関係ありません。どちらのチームに加わっていても気にする子供がおらず、人数に差があったり、途中から反対側に寝返ったりしても誰も文句を言いません。「引く」だけをルールとして、熱中して遊んでいる状況です。

5・6年生では、体つくり運動の学習に綱引きを取り入れることで、力強い動きを高めることができます。

しかし、5・6年生の綱引きでは、子供の足の踏ん張り方に3パターンあることが分かりました。

①両足をそろえている。

左側の低学年4人だけで構成されているチームの足は全員この①タイプで、右側で引く2人の6年生に引かれまいとしている状態です。この写真以外でも多くの子供は①タイプのように両足がそろっている状態で、しかも腰が曲がっていて、力が入りません。一方の6年生の2人は、足を前後に、しかも斜めに構えており、低学年の子供たちとの違いは明白です。

②後ろ側の足で引こうとする。

5・6年生にも比較的多く見られたのが②のタイプです。後ろに引こうとするあまり、後ろ足だけに荷重がかかり、前側の足が浮いていて踏ん張れない状態です。腰の曲がりも大きく、左腕の肘が曲がっていることから腕の力に頼りきっていることも分かります。引く力強さを十分に出し切れていないうえに、引く方向と体の重心がずれているので、安定もしません。

③足を前後にして突っ張っている。

②との違いは、前になっている方の足にも体重が載っているところです。しかも、綱と体が一直線上にあり腰が入ってバランスがいい体制です。左腕のひじもまっすぐ伸びて力が入れやすく、また、前側の足で踏み止まっています。引く方向に体重を預けているため、引く力が最も入りやすい体の使い方と言えそうです。このような③タイプの子供は、6年生でも数名です。  

1年生が、5人がかりで大人に挑んでも勝てない要因は、踏ん張りがきく体の使い方ができないことにあるようです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

最新ヒントのメール配信をご希望の方は、こちらから登録できます。