思考・判断の学びは、知識の評価の後になる
「思考力、判断力、表現力等」のうち、思考・判断に関しては、解説体育編では「新たな情報と既存の知識を活用しながら課題を解決」と記載されています。
このことから、思考・判断の学びの前にある程度の知識が求められることになります。思考・判断の中で活用すべき知識は、運動の行い方ですが、子供の学びにとって「新たな情報」とは何か、「既存の知識」を活用できるかどうかが重要です。
小学校では29年版学習指導要領になる前までは、知識という内容の記載がありませんでした。それまでは「運動をやってみて気付いたこと」「運動をしながら分かったこと」を知識とみなして思考・判断の内容に含んで実践していました。
しかし、課題解決をするうえで知識がないことはあり得ません。そこで、運動と知識を切り離すことができないことから「知識及び技能」になって扱われるようになったのです。
3年生の鉄棒運動で考えてみると、2年生までに学んだ鉄棒遊びの「既存の知識」を活用することになります。そこには、いろいろな鉄棒遊びで磨いてきた運動感覚や自分が気付いたコツなどが含まれます。
固定施設遊びでのいろいろな行い方も「既存の知識」になりますし、もしかするとほかの運動での身のこなし方も「既存の知識」となったることでしょう。これらの「既存の知識」は、3年生の鉄棒運動でもおおいに活用できそうです。
3年生では運動遊びと違って技のできばえを求められるようになります。そのため、自己の能力に適した課題として見付けた後方片膝掛け回転や転向前下りの行い方を「新しい情報」として身に付けていなければなりません。つまり、そこには、知識の評価が必要となります。
そして、鉄棒運動として身に付けた「新たな知識」と鉄棒遊びで身に付けていた「既存の知識」を活用しながら、技ができるようになるための活動を工夫しながら課題解決の学びを進めていくことになります。