「できる」ようになるまでの過程とそれらの段階にいる子供への支援
跳び箱で「たまたま跳べた(できた)」とき「できて、よかったね。」と共感することはありますね。しかし、せっかくできても、もう一度やってもできないことがあります。次の体育の時間にもできるとは限りません。
「あれ、さっきは、できたのに…」「この前、できたんだけどな。」など、「できた」そのときの体の使い方や跳べたときの感じを思い出せない段階です。できている技をもっと上手に「できた」のとは、「できた」段階が違うのです。
跳べたかどうかだけで「できた」かどうかを跳び箱では判断しがちです。しかし、運動には、それを自分のものとして獲得していくようになる過程があります。
運動を獲得するまでの段階としては、まず「できない運動を覚える学習」があり、次に「できる運動をよりよいものにする学習」があります。子供の学びがどの段階にあるかによって指導内容が決まります。
初めの「できない運動を覚える学習」の段階は、「嫌な気がしない」「やってみたい」「できるようになりたい」からスタートします。次に、「どうすればできるのか、分かるような気がする」段階を経て「できそうな気がする」段階に至るという過程なのです。
「お尻が引っかかってできなかったけど、何だか、跳べそうな感じがした。」という 「どうすればできるのか、分かるような気がする」 段階でこそ、子供に共感することが必要になってきます。お尻が引っかかっていて跳べない状況が、やがて「できそうな気がする」に変わる重要な段階なので、ここを逃してはならないのです。
試行錯誤をたくさんできるような指導計画を立て、「どんな感じがしたの?」「どうやったらできたのかな?」と振り返られるようにしていくことが、子供の学びへの大切な支援になります。