「やったー」のときは、なぜグーを出すのか

こども,子供のからだ発達,遊び

人間は上に腕を動かすと快を感じます。腕を上に振り上げる動きと快感情は連動しているのです。

例えば、鉄棒の着地が見事に決まった内村航平選手がよくガッツポーズをしていますが、グーでのガッツポーズを見た人は、内村選手の喜びようとともに力強さを感じます。握り拳には、「どうだ!」という主張があるからです。

しかし、ガッツポーズがパーだったら、どんな印象になるでしょうか。パーの場合、ガッツポーズという言い方をすでにしませんが、とにかく喜んでいることは表現できます。たまらないほどうれしくて「ヤッタ~!」という感情が、その笑顔とともに表出している状態です。

つまり、同じ腕を上げる動作でも、見ている人にとっては、グーとパーでは印象が違うことになります。グーはぎゅっと握ることによる強靭さを、パーは思いっきり開くことでの快感情を表せるのです。

そのため、さまざまな動きの中で手の使い方にこだわっていくことで、その表現に厚みが出ることが期待できます。ヘビーなロック調の曲であったらグーによって「強さ」を表現することがより適切な動きとなり、軽快なポップ調ならばグッと開いたパーの手のひらを周囲に見えるようにすることで「楽しいよ!」とアピールするようにもできます。

なお、内村航平選手は、演技のラストとなる着地の瞬間、グーでもパーでもなく指先をしっかり揃えて伸ばしています。この形は、静止する表現でひときわ見栄えがするからで、この演技終了の後、内村選手は、満を持して渾身のガッツポーズをするのです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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