運動遊びで「課題を見付け」という意味は何か
1・2年生の目標には「課題を見付け」という文言が見当たりません。どうしてでしょうか。

体育科の目標には「自己の課題を見付け」と思考力、判断力、表現力等に位置付けられています。これを受けて3年生以上の目標にも「課題を見付け」が示されていますが、1・2年生の目標は、なぜか「各種の運動遊びの行い方を工夫する」です。
1・2年生が運動とのかかわりを通して実現したい学びは、「楽しい」ことが大前提です。そもそも楽しくなければ「運動遊び」にならないからです。つまり、彼らにとっては、「学びは楽しいもの」ということは当たり前のことであって、しかも「学びは遊びとおんなじだ」と思えるものなのです。ここに1・2年生の発達特性と運動とのかかわりが見えてきます。
走の運動遊びで、いろいろな方向に走ったりして、「くにゃくにゃコースをうまく走れるようにするためのコツ」を見付けていきます。これが、「課題を見付ける」とおおむねイコールなのは明白ですが、彼らが「かけっこ」に取り組む真の目的は、これではありません。
「カーブでは、このくらい体を倒してもダイジョブかな?」「なんで手を振ると速くなる感じがするんだろう」など、「できる」ことに対しても更なる試行錯誤をしたくてたまらないのです。時には、「できる」行い方を壊して、わざとやりにくい走り方で楽しんでいることもあります。
このように1・2年生は、「結果がうまくいくような走り方を見付けること」以上に、「なぜ、こうやって走るとうまくいかないのか。どうして、こうするとうまく走れるのか」という「かけっこの仕組み」について、いろいろな行い方によって遊びながら学んでいることになります。
彼らは、課題解決に成功することだけのために、「かけっこ」をしているわけではないのです。