それじゃ、いつまでたってもかかえこみ跳びはできない
開脚跳びの発展技として例示されている「かかえこみ跳び」。足を開く開脚跳びに対して足を閉じて跳び越えることから閉脚跳びと呼ばれていたこともありましたが、閉脚跳びには、かかえこみ跳びのほかに屈伸跳びなども含まれるため、平成元年版の学習指導要領の例示から「かかえこみ跳び」となりました。
この「技」を身に付けられるようにするために、場の工夫として、真ん中が凹んだ跳び箱や2台の跳び箱を横並びに置いて使うことがあります。着手の位置よりも低いところでかかえ込む練習をするわけです。足が跳び箱に引っかかって、顔から落っこちるような心配がないため、少し思い切ってチャレンジすることができる心理的な効果はあるでしょう。やってみると足が前に抜けていくので「できるような気がする」状態にはなります。
確かに、足をかかえ込んで手の間を通すことはできますが、着手の手をずっと跳び箱の上に置きっぱなしでは、手の突き放しの動きは、まったく生まれてきません。手の突き放しによって体を浮かすようにならなければ、凹んだ跳び箱のくぼみを少しずつ減らしていっても、いつかは足が引っかかってしまいます。
先生は、「凹んだ跳び箱でできたんだから、普通の跳び箱でも、いつかできるようになるよ」と励ますことに終始します。手の突き放しの感覚が分かっているので開脚跳びができる子供たちが発展技として選んでいるので、あとは手の突き放しと足のかかえ込みとのタイミングを合わせて跳べるようになる可能性はあります。
しかし、多くの子供は、凹んだ跳び箱を使った足抜きタイプの跳び方を学んだに過ぎません。馬跳びと開脚跳びの動きは似ていますが、「手の支えで足を抜く」動きと「手の突き放しで足をかかえ込む」動きは、非なるものなのです。
かかえこみ跳びに発展するような動きは、例えばうさぎ跳びがあげられます。準備運動で取り入れるうさぎ跳びで手足のタイミングをリズミカルにできるようにしたり、大きなうさぎ跳びで手の突き放しから上体を起こして足が前に出るような動きを生かせるようにしたりすることが大切になります。
とは言え、やはり、1・2年生のときに「支持で跳び乗り」でどれだけ遊んだかが、カギとなりそうです。