動きができないので楽しくないから遊ばない?

こども,子供の学び技能,発達,評価,遊び,運動遊び

子供が初めて動きに出会うとき、まだ「できる」かどうかは分からないので、「できそうだ」と思うことがきっかけとなって「やってみる」ことになります。その裏には「楽しそうだ」という思いがあるはずです。

そこで、自己決定して「やってみる」と、すぐに「できる」状態になることもありますが、なんせ始めて「やってみる」動きなので、自分が最初に「できそうだ」と思ったほどにはうまく「できない」こともしばしばあります。しかし、遊びなので「できない」ことは子供にとってたいしたことではありません。

大人の場合、動きが「できる」ことの方が「楽しい」と認識しているので、動きが「できない」ことイコール「つまらない」と考える傾向にあります。そのため、大人は、子供が早く「できる」状況になるように「こうやりなさい」というようなニュアンスで支援してしまいます。

「こうやりなさい」と言われている時点で、子供からは自己決定が奪われているので、遊びの本質も失われています。「こうやりなさい」と何度も言われて、何度も「やってみる」けれどいつまでも「できない」と、「楽しい」を感じるどころか「つまらない」が増幅されていきます。最後は大人から「意欲的でない」と評価されてしまいます。

子供は「できない」に遭遇したときでも、「『できそうだ』と思ったんだけど…」と自分を振り返り、「どうすればいいかな~」と課題意識の芽生えから自己決定して、再び動きにチャレンジしていきます。何回やっても自分の思ったとおりの「できる」をなかなか味わうことができないこともあります。

「思うようにいかないな~」とはつまり「できない」実感し始めることにもなりますが、それでも、なかなか諦めないのも子供らしいところです。そこには、「できない」ことをそう単純には「つまらない」と認識しない子供の発達特性があると考えられます。

子供は、「できない」動きにチャレンジすることそのものに「楽しい」を感じることができるので、いつまでも遊び続けられるのです。ただし、それを可能としているのは、「できない」動きにチャレンジしているプロセスが子供の自己決定によって学びとして成立している場合です。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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