うさぎは、なぜ「1羽」と数えるのか
うさぎ跳びと聞くと、手を後ろに組んでしゃがんだ姿勢での連続ジャンプを思い浮かべます。しゃがんだ姿勢でぴょんぴょんするような動きをまねした運動だったことからうさぎ跳びと名付けられたのでしょう。
しかし、実際にうさぎは、しゃがんでいるわけではなく、初めから膝が曲がってバランスをとっているだけで、そのつくりは、鳥に似ています。
トレーニングでよく行われていたうさぎ跳びは、極度の負荷によって腱を断裂することはあっても強化することは不可能であるというような研究がなされ、むしろ膝や足首の関節を傷める可能性が高いことが分かりました。前時代的な誤解による悪しき運動と認識され、今や誰もやっていません。
当のうさぎが、どのように歩行するかということは、雪に残ったうさぎの足跡を見ると分かりやすいです。縦に並んでいる小さな二つの点が前足のものです。これに比べて後ろ足の足跡は、その二つの点を跳び越えるようにして横に並んでいます。左右の足跡が大きいのは、同時に接地と跳躍をするためです。敵から自分の身を護るために、ジャンプ力のある後ろ足が極めて重要な役割を果たします。
うさぎのこのような歩行方法は、同じように雪に残る狐の足跡では小さな四つの点がほぼ一直線上に並んでいることからも、他の四足動物とは随分異なっているといえます。しかも、歩行の形態だけでなく、うさぎの足は鳥の足にその筋肉組成が似ていることも分かっています。
うさぎを「1羽、2羽」と数えるのは、こうしたからだののつくりや動きに基づいているのかもしれません。