「おもしろい」が「楽しい」に変わるとき
すべり台で遊んでいる子供は、飽きることもなく何度も何度も繰り返し滑っています。
このとき子供は、いちいち「おもしろい」と感じています。だんだんとスピードがついてくることや、最後に急に止まったような感じになったりお尻が落っこちてしまう感じになったりすることさえ「おもしろい」と感じています。
行われている運動の一瞬一瞬に「おもしろい」と感じている状態を見て、周囲の者は「楽しそうだな~。」と微笑ましく見ています。滑っている当人も、一瞬一瞬の「おもしろい」が次々と積み重なって続いていくので、「すべり台って、楽しいな。」と感じるようになります。
ところが、少し年齢が高くなった子供は、そこまで「おもしろい」と感じながら滑り台を滑っていません。普通にすべることに対しては、すでに飽和状態なので、次の付加価値をすべり台に求めるようになります。
そのうち、後ろ向きにすべったり、頭を下にしてすべったり、すべり台を逆から上ってみたり、友だちと追いかけっこをしたりして楽しみます。一瞬一瞬を「おもしろい」と感じていたレベルから脱して、すべり台で遊ぶという運動の流れを終末まで見越したプロセス自体を「楽しい」と感じているのです。
このとき、自己決定によって求めた運動に結果が伴うようになると達成した「喜び」を感じ、有能感を味わうことができます。このような自己決定と有能感を自ら感じられるようにするためには、子供が自分のもてる力を十分発揮できたり、自分の努力によってできるようになることが実感できたりする環境を設定しておくことが重要です。