子供の気づきを促す、指導者の言葉掛け
運動中、子供にどのような言葉をかければよいか悩むところです。子供の特性、運動内容、言葉をかける場所やタイミングによって使い分けが必要になるからです。
たとえば、第1・2学年の走の運動遊びでは、直線走やくねくね走、障害走などを楽しみます。そのため、いろいろなコースや局面を走るときそれぞれ「どうすればうまく走れるのか」が学習課題になるので、それに沿った言葉かけが求められます。
スタート地点にいる子供には、友達の走り方に着目できるよう「〇〇さんは、どうやって走っているかな?」と促したり、いよいよ走る前には「どんなところに気を付ける?」など自分のやろうとしている走り方をもう一度確かめられるようにします。
ゴールしてきた子供には、「どう? うまくいった?」と自分の走り方を振り返れるようにしたり、「次は、どう走る?」と自分のめあてを確認できるようにしたりします。
走っている子供にコースの途中で言葉をかけるときは、速く走ることを基本にして、それまでに学んできた走り方のコツをキーワードにします。折り返しとなるカラーコーンの手前では、「クルっと!」を意識できるように「どう走る?」と問いかけたり、コーンを回りきった後には、「OK! ナイス!」と励ましたり、最後までスピードを意識できるよう「GO! GO! GO‼」「全力っ! 速いっ!」などの言葉をかけたりしていきます。
このように考えると、指導者は、スタート地点や折り返しのコーン付近にずっといるのではなく、いろいろのコースのいろいろなところを絶えず動き回って、一人一人の子供が走っている状況を瞬時に把握し、そのときに必要な言葉をかけ続けていくことになります。
なお、走の運動遊びは陸上運動系の学習なので、スピードを出さずにちんたら走っていては、ねらいが達成できません。子供たちは、スピードを出しつつリズムよく走るコツや、「クルっ」と回るからこそ「カーブでは、体を内側に倒すほうがよさそうだ」と気付くのです。