「おでことおしり」でボールを挟んで歩く動き
体ほぐしの運動では、運動することの心地よさを味わうことを目標として取り組むことになるので、技能の評価をしません。
友達とああだこうだ言いながら、心と体の関係に気付いたり、仲間と交流する楽しさを体験したりすることが目標になるため、授業のねらいもそれに添ったものになります。
ボールを挟んで運ぶような運動は、各学年の体つくり運動の中でいろいろな扱いができます。体ほぐしの運動として扱うならば、1人で両膝の間にボールを挟んで歩くこともできますが、友達と二人で1つのボールを挟むほうが、はるかにバリエーションが生まれます。
このとき、初めから「背中どうしで挟んで…」と指導者が限定せずに、体のどこを使ってもいいようにしておきます。子供たちは、友達同士で挟みやすい場所を探しながら運動に取り組んでいくことになります。
すると、背中と背中、おなかと背中、頭と頭、お尻とお尻など、実にいろいろなアイデアが次々と出てきます。楽しそうに思える「おでことお尻」という組み合わせでも一応やってみますが、楽しい以上に負担がかかることが分かると、自然とやめてしまいます。
そのうち子供たちは、挟む場所によって友達と前後になって歩いたほうがいいか、カニのように横歩きがいいかをも探るようになっていきます。
このように、「おでことお尻」に見切りを付け、挟み方や歩き方の工夫、使えるボールの種類選択まで学習できるようになると、すでに体ほぐしの運動の域をこえ、多様な動きを作る運動(遊び)として扱わざるをえません。
体ほぐしの運動をきっかけにした主体的な学びが広がっていきます。