学ぶことの本質的な意義とは何か
体育で身に付けられるようにする資質・能力の内容は、単なる体の動きではありません。3・4年生のゴール型ゲームの例示としてラインサッカーが挙げられていますが、このラインサッカーとボールを蹴ることは同じではありません。
もちろん、ラインサッカーですから、ボールを蹴る技能はゲームの中で発揮されることになります。これが基本的な動きの一つということになるでしょう。
しかし、的のようなところをねらってボールを蹴っている時とは、少々「蹴る」ときの環境が異なります。ラインサッカーでは、自分が「蹴る」ことを邪魔する相手チームの友達がいます。同じゴールを目指している味方の友達もいます。
的あてなら「このあたりから蹴ってもできそうだ」と思えることはあっても、ラインサッカーではコートの大きさは決められているのが普通です。しかも、チーム同士の競い合いなので全体での規則が統一されていることも条件になります。
つまり、自分一人で「的をねらって蹴る」ことからは、運動するその環境が飛躍的に複雑になるのがラインサッカーに代表されるゴール型ゲームと言えます。そこには、自己だけでなく他者の存在があり共有すべき規則があるからです。
しかし、これこそが、学習した「蹴る」という内容が、単なる「体の動き」としての捉えではなく、生涯にわたって主体的に学び続けることにつながるような「蹴る」となる、大きく捉えれば「人生や社会の在り方と結びついた」学びになると言えるでしょう。基本的な動きである「蹴る」技能を駆使して競い合うことが楽しいと子供自身が感じられるような易しいゲームをすることが求められているのは、そのためです。