子供の思考は「正面がやりやすい」
バスケットのゴールにシュートしようとしているとき、ゴールに近いところからシュートすれば入りやすいと考えるのは当然です。では、どの方向からシュートしたら、より入る感じがするでしょうか?
子供の技能にもよりますが、最初から角度のないところを選ぶことは少ないです。リングの背後にボードが無くダイレクトにシュートを決める必要があるためで、「外したら、ボールが向こうに行っちゃうなぁ」と感じるからです。
このほかに斜め45°あたりからねらいをつけることもあります。ダイレクトにシュートするなら角度のないところと条件は同じですが、ボードに当ててからゴールを決める方法もあるので、ちょっとボールを使ったことがある子供なら、「やってみようかな」と思うコースです。
しかし、運動経験が少なかったりボールを扱うことがあまり得意でなかったりする子供は、決まって正面からのシュートを好みます。正面から構えるとリングの後ろには大きなボードがあるので、「外れても、こっちに跳ね返ってくるはず」という期待が膨らみます。
「正面からねらったらリングの手前に当たるかもしれない。だから、そのリスクを回避するため斜めからがよい。」と考えるのは大人の発想です。実際、リングに当たってしまえば、ボールがどこに跳ね返ってくるか分からないことさえ面白く、シュートを打つ前の安心感としても、やはり正面なのです。
そう言えば、初めてゴム跳びをやるとき、ほとんどの子供は足が引っ掛かりやすい正面から助走して跳びます。ある程度の動きを獲得するまでの過程では、結構「正面がいい」ということが多いのです。それを大人が「正面は、やりにくそうだから・・・」と決めてかかると、子供の思考を阻むことになります。