動きの工夫を紹介するときに気を付けるべきこととは?
1・2年生の「多様な動きをつくる運動遊び」では、基本的に自分で自由に運動します。そのため、いろいろな動きを身に付けていくために友達と動きを見合いながら学ぶ場面が大切です。
「多様な動き…」の中でも「用具を操作する運動遊び」は、遊び方を工夫しやすいので、子供がいったん用具を手にするとたくさんのスーパープレイが見られます。ところで、それを授業の中でどのように取り上げたらいいでしょう。
「ボールを投げ上げて自分で捕る」場合だけでも実にたくさんの工夫が生まれます。「投げたあと拍手してから捕る」「投げたあと床に手を着いてから捕る」「投げたあとくるっと一回転してから捕る」など、なんでもありです。
ところが、この動きをクラス全体に紹介したとき、「あ~、一回転できたんだ。すごいね!」だけの称賛で終わってしまうと、投げてから捕るまでの「間に何をするか」をほめられたことになります。そうなると、「投げる」「捕る」動きの工夫はどこかに行ってしまって、次からは全員が「間に何をするか」という動きだけを工夫して楽しむ志向になります。
すると、「投げたあと拍手しながら回転して走って行って捕る」というようなとんでもない工夫まで出てきてしまいます。ボールをどう投げても、ボールがどこに飛んでいっても、捕れなくてもお構いなしです。「捕る」ができなくても「あ~、惜しかったね~。」などと指導者が忖度までしてしまいます。「用具を操作する…」本来のねらいが疎かになり、どう「投げる」か、どう「捕る」かよりも「間に何をするか」の工夫をするよう潜在的に導いてしまっています。
この場合、「一回転できてすごい」ことの要因として、ボールを真上に投げられたため自分が一回転できるだけの余裕ができたことが考えられます。そこで、その時間的余裕を生もうとした考えを引き出してから、「どうやったら真上に投げられたか」というよい動きに気付くような言葉掛けをしていきます。「どうやったら真上に投げられる?」と聞かれた子供は、「どう投げる?」を学んでいきます。