ついつい形を作ってしまいがちな「うさぎの耳」には、動きの特徴がない
「みなさん。うさぎさんになってみましょう。」と声をかけると、子供たちは、どんな動きをするでしょう。
多くの子供、両方の手のひらを正面に向けるようにして頭の上にちょこんと置いて縦長の耳の形を作り、そのままぴょんぴょん跳ぶように動きます。よく見るウサギの典型的な形とも言えますが、実際のウサギは、決してこのような動きをしません。自らの命と引き換えになるくらいの危険を招き入れてしまうことを知っているからです。
ウサギが、耳を垂直方向に立てているときは、「敵が来たのではないか。」と警戒しているときです。耳をそばだてて敵の来る方向はどこなのか、耳をその方向に動かして、じっと聞いています。そして、敵が来ることが分かると一目散に逃げ出していきます。
このとき耳が立ったままではじゃまなので頭部に沿ってぺたんと格納されたようになります。両耳を立てたまま両足でぴょんぴょん跳んでいるようでは、敵に向かって「ここにいますよ~」と自らアピールしているようなものなので、弱肉強食が当たり前のの自然界ではやってはいけない動きになります。
1・2年生の表現リズム遊びで動物を取り上げようとすると、ウサギやゾウなど形に特徴がある動物をついつい選んでしまいます。開脚跳びやクロールなど形が明確であるほうができばえの基準が分かりやすいのと同じ考えです。
しかし、同様に、その形に特徴があるキリンを子供たちに提示しないのは、「キリンの形には特徴があるが、その動きは、できないだろう」と、表現する動物の種類に制限を勝手に指導者がかけてしまっているからです。「さあ、体育館全部が、サファリ・パークだよ!」という問いかけだったら、どんな動物でもいいはずなのですが…。