危険な遊びだから撤去された「ぶらんこ」

子供のからだ,学習内容器械運動系,学習指導要領,遊び,運動遊び

ぶらんとしているからその名が付けられたというぶらんこ。古くは8世紀ごろに女官が鞦韆(しゅうせん)と呼ばれるぶらんこのような遊具で遊んだ記録があるそうです。

木の枝に紐のような物を吊るしてつかまっていれば、揺れて心地いいことから、座る所を付けた遊具と言えるでしょう。この心地よさは、感覚統合にもつながっていきます。

ゆ~らゆ~らとこいでいるだけでは、たいして面白くないぶらんこ。しかし、隣に友達がいようものなら友達に負けないように「どっちが高くまでこげるか」を自然と競争したくなります。競争をするうちにどのタイミングでどのように力を入れれば、より高くまでこげるのかを、常に追求しながら遊ぶので、知らないうちに技能が身に付いていくことになります。

ぶらんこから着地点までの距離を競い合う遊びも、昔はよく見られました。この遊びをするときは、ぶらんこの周りに安全柵があるとじゃまだったので、「安全柵があるからこそ危険」を承知したうえでの遊びでした。そのため、柵にぶつからないようにしながらも遠くに安定して跳び降りる技を競い合うように自分の動きをコントロールしていました。

また、立ちこぎをすると見える世界が違うので、そんな楽しみ方も工夫しました。立ちこぎの技は、タイミングが合わないと少しも揺れないことに、子供は気付いていました。「どうやったら、立ちこぎができるのか?」と聞かれて、言葉で説明できますか?「手でしっかり握って、足でこぐの。」と言われても力の入れ具合などが全く理解できないはずです。このような動き方の説明ができないことって、往々にしてあるものです。

最近では、ぶらんこのような揺れる遊びは、あまり見かけなくなりました。危険を理由に撤去されてしまった回旋塔や空中シーソーなど、ダイナミックにぶら下がれる固定施設が姿を消したのです。

何かに必死につかまって揺れていた世代は、また、鉄棒も上手でした。高鉄棒で自分の体を揺らす遊びは、握力が落ちている最近の子供には、あまり人気があるとは言えませんし、雲梯や肋木のようにぶら下がれる固定施設もありますが、現代っ子にとっては地味な遊びです。

ぶらんこは、ボーっとしながら揺られているだけで心地いいので、ドラマでは、仕事で失敗した後や失恋した後など気分が落ち込んでいるシーンによく使われます。手軽な運動によって心が軽くなる「心ほぐし」といえます。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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