すなだんご作りのための知識及び技能の活用と発揮
子供たちの生活を考えるとき、基本的な運動の技能は、様々な遊びの場面で用いられる技能であると同時に、生活のいろいろな場面でも用いられる技能であることを忘れてはなりません。
例えば、子供が砂場で団子を作って遊んでいる場面を想像してみましょう。遊びながら、子供たちは自然に手先の動きを洗練させていく様子が見て取れるはずです。つかんだ砂が指の間からこぼれ落ちていくので、やたらとギューギューするのでなく適当な力加減を感覚的に身に付けていきます。それでもうまく固まらないと気付くと少し湿った砂や近くにある土を混ぜてみてようやく完成させ、その団子を大事にします。
これらの能力は、箸を扱ったり着衣などにみられる手先の器用さにつながったりする可能性が高くなります。大雑把な動きだけだったものから細かい動きができるようになるので、わしづかみでのスプーンの操作から箸の扱いへ、洋服のボタンの掛け外しもできるようになってきます。
このほか、積み木のバランスを取りながら積み上げる遊びは、水の入ったコッブや食事の入った皿を運ぶなどの生活習慣を獲得することに寄与する可能性が高いと言えます。 このように、運動技能の獲得が子供にとってどういう意味をもつのかを考えてみることが大切で、それぞれの年代の生活の充実を目指して運動技能は獲得されるべきです。
ボールを正確に蹴るためのインサイドキックなど大人のための洗練された運動技能を獲得させようとトレーニングのように繰り返し練習することは、子供の生活の充実にとってほとんど意味をもたないことを、指導者は理解しなければなりません。