令和型学びに欠かせない「サンマ」とは?
魚の話でも芸能界の話でもありません。「子供の体力が落ちた原因は何なのか」というときの、あの「サンマ」の話です。
建築家である仙田満氏は著書「子どもとあそび」(岩波新書)の中で「1965年ごろから外遊びの時間より家の中で遊ぶ時間が長くなってきた。」と述べています。また、「1985年ごろを境に子供の体力が長期的に低下の一途を辿っている。」とした文部科学省の諮問を受けた中央教育審議会は、2002年9月30日、「子どもの体力向上のための総合的な方策について(答申)」に、子供を取り巻く環境の問題を提起しています。
その中でスポーツや外遊びに不可欠な要素である時間、空間、仲間の減少を挙げました。ここに「間」がつく熟語が3つ並べられたことから、いつしか体力低下の原因は「サンマの喪失」などと使われるようになりました。
平成29年版の学習指導要領が資質・能力を育成する目的で改訂されましたが、授業改善を図るうえでもこの「サンマ」の復権がなされたいところです。子供の自発的な行動である遊びが「サンマ」によって支えられていたと言えるからです。
つまり、遊びを学びに置き換えて考えてみると、見出した学習課題を解決するための十分な時間、解決のための教室やタブレットなども含む環境としての空間、そして協働的な学びに欠かせない仲間。いずれも、外で体を動かして遊ぶ環境として不可欠だった「サンマ」という意味だけでなく、これからの授業の中でも「サンマ」の考え方を生かした学習環境を提供することは大切であると言えそうです。
ところで、令和型「NEWサンマ」というのはどうでしょう。「まよい」「まちがい」「まわりみち」という3つの「ま」です。子供たちが主体的に、協働的に学ぶとき、いかに指導者が綿密な計画により学習環境を整えたにせよ、一人一人の課題解決は一直線に進むはずはありません。
子供たちは、自分がどうしたらいいか「迷い」、やってはみたけれど「間違い」に気付き、この方法はどうなんだろうと「回り道」をしながら自分の学びを調整していくことになるからです。いかがですか?「NEWサンマ」。