形成的評価と総括的評定を混同していませんか?
指導と評価の一体化を図る中、子供一人一人の学習状況は、指導している過程で評価されていきます。これが「形成的な評価」です。
「形成的な評価」は、具体的な学習活動に即した評価規準を設定することにおいて「評定」と共通の部分があります。そのため、同じ意味の言葉であると誤って認識している人もいますが、実は、その内容は大きく異なります。
「形成的な評価」は、子供の学習状況を見取って、次の学習への支援や指導の改善に生かしていくために行う授業改善のための評価と言えます。そのため、授業の最後の振り返りの時間や学習カードへの記述で見取るだけでなく、むしろ、学習活動中に行うことが中心となってきます。実際に指導している過程、つまり、授業時間内で行うということです。
主体的に学習に取り組んでいる子供が、目標に照らして設定された「おおむね満足できる」状況となるように、具体的な学習活動の姿を通して見取ることで変容を把握することが「形成的な評価」です。そこから、一人一人に応じて指導を加えたり支援したりしていきます。もし、学級全体の学習状況が芳しくなかった場合は、個々人ではなく学級全体の指導の改善を図って行くようにします。
そして、これらの「形成的な評価」を授業の中で積み重ね繰り返したのち、評価できる資料をある程度収集できたとき単元で育成が期待された資質・能力がどの程度身に付いたのかを総括する形で評価する、これが総括的な「評定」です。そのため、毎時間の授業で「評定」のための評価活動は行うことは、そもそも前提としてありえません。
「形成的な評価」を「評定」と混同して使ってしまうと「1時間のうちに学級全員を評価するなんてできっこないよ。」という議論になってしまいます。「評定」も「形成的な評価」も指導者による評価活動ですが、両者を混同して解釈しているところに「毎時間、全員の評価をするなんて、無理っ!」といった考えに至る原因があるのです。毎時間、全員を「評定」することはありえませんが、ある程度の内容のまとまりごとに「形成的な評価」は毎時間していくことになります。