ヨチヨチ歩きへの挑戦を続けられる理由

子供のからだ技能,発達,身体,遊び

赤ちゃんはハイハイを習得しても、その技術をいつまでも使っているわけではありません。別に誰に教えられるわけでもないのに、そのうち立ち上がって二足歩行を始めます。

ハイハイの方が明らかに速く移動できることを知っているにもかかわらず、二足歩行の初期段階にあるヨチヨチ歩きに果敢に挑戦し続けます。これは、「もっと高度なことができるはずだから、挑戦、挑戦!」と遺伝子が命令しているとしか考えられません。人間は自分の能力をより高度に発達させようという欲求を、生まれながらに持っているということでしょう。

ヨチヨチ歩きの上手な動物といえばペンギンですが、彼らは、足の構造上、ずっと膝を曲げていなくてはならないので、やむなくヨチヨチ歩いているだけです。人間も膝を曲げたまま歩くと自然とヨチヨチ歩きになってしまいます。実際にやってみると、よちよち歩きになっている自分がよく分かります。

ヨチヨチ歩きは、足の裏全体が地面に着く歩き方で、踵からつま先方向への重心の移動が見られません。つまり、ヨチヨチ歩きのように踵とつま先が同時に接地している子供の場合は、地面を蹴る動きができないため、ペンギンと同じくヨチヨチせざるを得なくなるのです。

また、ヨチヨチ歩きでは、左右交互に体重をかけながら両手でバランスをとるようにして前進します。そのため、下り坂でヨチヨチ歩いていると、重力に引っ張られてどんどんスピードが出てしまいます。重力を利用して歩くのは、プログラミングも動力も必要としない受動歩行ロボットの原理と同じです。トコトコ人形の動きです。歩行が自動化されてくるとボーッとしながらでもスマホを見ながらでも歩くことができますが、この歩行という動きが実は、生命体に限られた現象ではないということを受動歩行ロボットは示しているのです。

歩ける人にとって二足歩行の動きは自動化されているので、体をどう動かせばいいかを意識せずに歩くことができますが、いろいろ考えながら歩かなくてはならないぬかるみなどでは、誰もがヨチヨチ歩きのようになります。また、ヨチヨチで後ろに歩くのは、極めて困難ですが、チャレンジなさりたい方は、どうぞ。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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