トラックは、やっぱり左回りのほうが好き
校庭のトラックを左回りに走らなくてはいけないルールは、どこの学校も作っていないはずです。
でも、子供たちがトラックを走るとき、左回りですね。どこの学校でも、そういう光景を見かけますが、どうして子供たちは、左回りに走るんでしょうか?
1896年第一回のアテネオリンピックでは、右回りでした。その頃は競技会によって回り方が違っていたようですが、競技者や関係者から「右回りは走りにくい。不自然だ」との抗議があがり、1912年から「Left Hand Inside」に統一されました。「左手が内側」になるように走る、つまり左回りとなったのです。当時の人達は、人間が先天的に回りやすい方向を経験的に知っていたのでしょうか。
10mの走路を走って往復させたある研究で、71%が左回りであったという結論を得ました。しかし、この実験は、「Left Hand Inside」と決められた後の実験であったため、「左回りに決められたことによって人間は後天的に左回りを好むようになった」とも考えられました。つまり、人間は左回りが好きだという根拠が無いまま、なぜかトラックは左回りに決められたことになります。走るときに左に回る機会が多いために左回りを好むようになったとすれば、それは創られた「好み」です。
そのため、特に運動が未発達の1・2年生のうちは、同じような走り方を繰り返し練習し、スキルを向上させたりタイムを競い合ったりすることよりも、むしろ右に回ったり左に回ったりする多様な走り方の運動経験がより多く必要になります。多くの人が左回りで走ることに子供のころから慣らされてきたのですね。
実際にトラックを右回りに走っている自分を想像してみてください。何となく走りにくさを感じている自分がそこにいませんか。
最近、朝の散歩に行くようになったのですが、公園の中を歩いている人も、ほとんど左回り。その帰りに立ち寄ったコンビニも、左回りでした。