転がりたくなる環境を作り出す
広い芝生の公園に行くと、子供は、必ず寝そべってゴロゴロと回転を始めます。
芝が体中にくっついてしまってもお構いなしに、何度も何度も繰り返し転がります。ここでは、前転や後転などはせず、多くの場合は丸太のようになって横に転がる動きになります。いちいち手を着く手間が省けるからです。
さらに、芝生が傾斜になっているときは、動きを止めようにもうまく止められない楽しさが発生するので、ますます転がりたくなります。「どこまでも転がっちゃうから、やらない」ということは、ほとんどありません。
「芝が服にくっついて、いや」というくらいが、傾斜のある芝生でも転がらない理由でしょう。傾斜のある芝生が、「ここで転がってみなよ。楽しいよ。」と子供を誘っているのです。
1・2年生で扱うマットを使った運動遊びでは、子供が転がりたくなる場をいかに提示できるかが、一つのカギになります。「あそこで転がったら、どんな感じがするんだろう」と子供が考え始めたときから学習がスタートするからです。その後、「こうやってもできるかな」と学習は進んでいきます。
よく、マットを使って「いろいろな遊び方を工夫しよう」と本時のねらいを提示してしまいがちですが、これを受け止めた子供たちは、マットを川に見立てて跳び越えたり、動物の真似をしてマットの上を歩いてみたりする遊び方の工夫が始まってしまいます。動物歩きは、腕支持にもつながる動きといえなくもないですが、学習の目標に合っためあてを子供が持てるようにするには、まず「いろいろな転がり方を考えよう」と投げかけていきます。