逆上がりのキックは、両足とも蹴ります
多くの体育嫌いを作り出した元凶のように扱われる逆上がり。29年版の学習指導要領では、鉄棒運動の「支持系 後方支持回転技群 後転グループ発展技」として示されています。
毎日放課後に逆上がりの練習をしていた子供が、やっとできるようになったとき、「もう、逆上がりは、やらなくていいんだよね、先生!」と嬉しそうに言ったという話は、笑うに笑えません。
逆上がりは、二重跳びのように「できる、できない」が明確な運動なので、指導者が目標として示すことは簡単です。しかし、「できない」状況が長く続くと、意欲を失う危険をはらんでいます。そして、結果的に「できない」まま終わることもある技能でもあります。
逆上がりは、後方に回転しながら鉄棒の上に上がる技です。後方への回転に慣れていない子供には、回転開始後に腕が伸びたり、腰が前に出てしまったり、体が反ったりするというつまずきのパターンが見られます。
ここで、ICT機器で撮影されて「ほら~、肘を伸ばしちゃ、だめなんだよ。」と友達から言われても、やっている本人は困るばかりです。肘をのばすと回転の勢いが落ちるように感じられるからです。
後方への回転に慣れるという意味では、マットでのゆりかごや後転は逆上がりにつながる動き方になります。そのため、補助逆上がりや逆上がりを取り上げる前にマット運動の単元を指導しておくとよいです。
また、固定施設遊び・鉄棒遊びで経験するような感覚作りも欠かせません。 準備運動などでも積極的に取り扱うべきでしょう。
よく「強く踏み切って!」と子供に指導してしまいますが、踏み切るだけでは、いつまでたってもできるようになりません。また、空中では、片足だけ「キック」をすればいいのではなく、時間差をつけて両足交互に行わないと両足が前後に開くだけになります。ここで「ボールを蹴るように」と指導すれば、片足だけにピーンと力が入って、反対の足は踏み切ったらそれっきりお役御免です。その結果、背中が反って、肘も伸びることになり鉄棒とおなかが離れてしまいます。
技のポイントや練習の方法は頭で分かっていても、技ができるかどうかはまた、別の話です。