子供の実態を把握して学習指導案に記載する理由はどこにあるのか?
学習指導案には、単元の目標や評価規準などと並んで「児童の実態」が記載されていることがあります。体育が好きな理由、運動が好きな理由などの項目による実態調査が多いですが、これは必要なのでしょうか?
学習指導要領に身に付けられるようにする資質・能力や内容が決めれられている以上、子供の学びには、「~することができるようにする。」という目標があります。第3・4学年の「高跳び」であれば思考力・判断力・表現力等の目標に「…動きを身に付けるための活動や競争の仕方を工夫するとともに、~できるようにする。」が考えられます。そうなると評価規準として、「友達との競争の仕方を考えたり、競争の規則を選んだりしている。」などが設定されることになります。
ここで、「児童の実態」の登場です。「高跳び」に限らずこれまでの体育の学びにおいて「友達との競争の仕方を考えたり、競争の規則を選んだりしている。」状況がどうなのかを把握しないことには、身に付けられるようにするための指導の手立てが生まれるはずがありません。目の前にいる子供にどのような学びが成立し、どのような学びが成立していないのかを分かったうえで、個別最適な学びへと導くことができるからです。
つまり、資質・能力がどの程度まで身に付いてきているのかという「児童の実態」を踏まえたとき適切な指導の手立てが初めて示されることになるはずです。手立てありきで考えられているような学習指導案も見られますが、これは、指導者の「やってみたい」を実現するための自己満足に過ぎません。子供の「やってみたい」が後付けにならないようにします。