運動遊びでは「できないからこそおもしろい」ことにも気付かせたい

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運動が嫌いな子供の多くは「できないのでおもしろくない。」と感じています。そのため、指導者は、「できる」ようにしてあげようと、あれやこれやの手立てを打ちます。しかし、そのときに技能ポイントを示すだけで、あとは子供の努力と自得に委ねる指導になりがちです。

「技能ポイントを示してあげれば、技能を教えたことになる。」と考えている指導者が考えそうなことです。そのため1・2年生の運動遊びの指導でさえも技能ポイントを示して「こうやれば、できるよ。」と教えている場面もよく見られます。しかし、1・2年生の子供は「できないことさえも面白がる」発達的特性を有しているので、「できないからこそおもしろい」とも感じられるような指導が、運動遊びでは求められます。

運動遊びで「できないからこそおもしろい」と感じることに意味を見い出せないのは、子供を大人のミニチュア版と捉えた評価観を、指導者が押し付けているからです。「大人に近い技能ができないあなたは、へた」という潜在的カリキュラムによって「できないことは、ダメなんだ。」という評価観が暗黙のうちに子供の中で育っていることに気付かないところに、その原因があります。

1・2年生はもとより運動が好きな子供は、とにかくチャレンジしてみようと思うので、結果に関係なく「できるかもしれない」と思って「やってみる」ことそのものを楽しく感じます。一方で運動嫌いな子供は、「できそうな気がしない」のでチャレンジしてみようという気さえ起こらずにいます。そこに、「こうやれば、できるよ。」と声かけをすると、かえって強制された運動になってしまうことが少なくありません。運動嫌いな子に、指導者がやらせたことをもって「先生が教えたから運動が好きになった。」と言うことは、子供に言わせたがっている指導者の自己満足であり、同時にそれは偽善に過ぎないのです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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