短なわで遊ぶことは、そう簡単な技能構造にはなってない
子供たちが一生懸命取り組む短なわ跳び。一人でも手軽に遊べるため、いろいろな跳び方ができるようになっていくうちは、飽きることなくいつまでも遊んでいます。
ところで、下のイラスト、楽しそうに短なわで遊んでいます。
しかし、このイラストの動き、ちょっと変な感じがしますが、さて、どこでしょうか。
左の黄色い服の子供は、ジャンプしたときに短なわが下にあるので、短なわを跳んでいることになります。しかし、右の赤い服の子供は、ジャンプしているときに短なわが上にあるので、跳んでいません。二重跳びをやっていない前提で考えると、赤い服の子供の動きは、明らかにおかしいです。
人間は、ジャンプするとき本能的に手を振り上げます。そのほうが高く跳べると分かっているからです。しかし、短なわでは、「ジャンプするとき、なわをおろす」という特殊な動き、つまり、「体は上でも、手は下へ」という逆の動きをしなくてはなりません。
理不尽な動きを求められるので、①短なわが大回り(脇がしまらず、肩で回している感じ)、②リズムが合わない(なわの回旋とジャンプのリズムのずれ)、③不経済なジャンプ(膝の曲げすぎ、かかと加重)などの特徴が生じます。力の入ったぎこちない動きです。このような動きは、5・6年生であっても、回旋する長なわの中でそのリズムに合わせて短なわを跳ぼうとすると再現できます。
短なわ跳びは、技術的には簡単そうな運動に見えます。しかし、「跳ぶ+回す」リズムを身に付けるまで、その動き方が体で分からない子供にとっては、「なぜ、そのように動くことができるのか」という疑問が常に頭の中を駆け巡る、悩ましい運動と言えるのです。