「見方・考え方」の根拠となった教育の在り方とは?
平成29年版の学習指導要領では、「体育や保健の見方・考え方を働かせ、…」と体育科の目標に記載されました。資質・能力を身に付ける上で欠かせない視点が「見方・考え方」です。
平成20年版までの学習指導要領が、各教科等においてどのような内容を教えるかを中心とした構造となっていたことから脱して、これからの時代は、子供にどのような資質・能力を身に付けられるようにするかという教育の在り方を文部科学省は、考えてきました。世界的潮流として、OECDの「キー・コンピテンシー」をはじめ、育成すべき資質・能力を明確化した上で、その育成に必要な教育の在り方を考える方向でもありました。その経過の中で、「育成すべき資質・能力に対応した教育目標・内容」については、相互のつながりを意識しつつ扱うことが重要として次の3点が検討されました。
① 教科等を横断する汎用的なコンピテンシーに関わるもので、問題解決、論理的思考、コミュニケーシ ョン、意欲とメタ認知(自己調整や内省、批判的思考等を可能にするもの)
② 教科等の本質に関わるもの(教科等ならではの見方・考え方など)で、それらに関わる問いに答えるためのものの見方 ・考え方、処理や表現の方法など
③ 教科等に固有の知識や個別スキルに関するもの 知識、使い方(技能)など
「21世紀型能力」を踏まえて、各教科等を横断する汎用的な資質・能力の育成を目指した29年版の学習指導要領では、各教科等の目標にこれらを取り入れることにしたのです。その結果、①は、「思考力・判断力・表現力等」と「学びに向かう力、人間性等」に、③は「知識及び技能」に整理されました。そして、②の「見方・考え方」は、①と③をつなぐ重要な視点として、各教科等の目標の前文のような形で位置付けられたのです。