子供がよく口にする「見てて! 見てて!」現象

こども,モニタリング・相互作用,子供の学び思考力・判断力・表現力等,技能,発達,遊び

滑り台に初めて挑戦するとき、子供は「ここにいてっ!」とか「手、つないでて。」などと自分が安心できるような環境づくりを要求することがあります。「ここで、見てるからね。」と、少し離れてただ見ているだけでは子供からOKがもらえるような状況でない場合もあります。

子供としては、何度かチャレンジを繰り返して滑り降りるときの感じがなんとなく分かってくると「できるような気がする」と思えるようになります。また、滑る感覚も楽しめるようになるので、「ここにいてっ!」から「あっちに行ってて、いいよ。」へと要求は変化します。このときは、「今は、もう、できるようになったから、そばにいなくてもいいよ。」なのか、「あとで、びっくりさせて、ほめてもらうんだから、今は、見ないでいてほしい。」と思っているか、だいたいそのあたりでしょう。

子供が自分の意志で「やってみよう」という気持ちになって新しい動きの獲得に取りかかろうとする時は、多少の困難があっても自分でなんとか解決できるんじゃないかと、意欲的にチャレンジするものです。「どうやったら、できるのかな。」「あと、ちょっとなんだよな。」などという表情を見せています。何か、独り言のようにぶつぶつ言っていることもあります。

しかし、おせっかいなことをしたがるタイプの大人は「できなくて困っているみたいだ。」と、すかさず「こうやるんだよ。」などとついうっかり手を出してしまうことがあります。「教えなければ動きを獲得できない」としか考えていない大人の発想で、子供にとって大切な学びのプロセスを奪ってしまっていることに気付きません。

なんとか自分でやり遂げたいと思ってチャレンジしている当の子供は、そんな大人の情報を必要としていないので、「自分でできるから構わないでっ!」と多少不機嫌になります。「あっち、行ってて!!」とまで言われないにしても、大人の存在がじゃまになる、見ていてほしくない時間帯が、子供にはあるのです。

目標を達成した瞬間の子供は、何とも言いようのない得意げな顔をしたり、そのうれしさを周囲に報告して回ったりします。親に、先生にほめられたい、友達にも自分のすごいところを認めてもらいたいという社会的動機が現れたとき、怒涛の「見てて! 見てて!」が始まります。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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