北斎漫画に見る現代っ子がアンバランスな理由
転びやすい。それは、足そのものに問題があるというより、体幹にあるそうです。
生涯に渡り3万点を越える作品を残したという葛飾北斎。そんな北斎が江戸庶民の動きを描いた「北斎漫画」には、体幹を鍛えているようなポーズが多く見られ、当時の人々のトレーニング方法を想像することができます。だれもが体幹を鍛えていたのでしょうか。
江戸時代には、今でいう下腹部に当たるお腹の部分を「肚(はら)」と呼んでいました。「腹をくくる」とか「切腹」という表現があるように、肚にはその人の精神が宿っていたという思考があったようです。
北斎漫画の人物のポーズを真似するとき、肚をしっかりと意識していないとバランスが取りづらくグラグラします。つまり、体幹を意識した体の使い方が、江戸時代の人々の中では重要であったことになり、また、そのことに江戸庶民は気付いていたとも言えます。
現代っ子は、体幹が弱いという指摘があります。今の環境や子供たちの遊び方・体の動かし方などにフォーカスしながら、なぜ転びやすいのかを考えていくと、幼少期の外遊び経験不足に行きつきます。
「歩く」動作一つをとっても足だけで歩いているわけではなく、腕の振りも使いながら、身体全体に関わって協調するような動きが「歩く」ときに求められます。体幹がしっかりしていないうちはトコトコと歩くこととなり、バランスが悪く左右に揺れるので、どうしても転びやすくなります。