ドードーが滅びた理由は運動しなくなったから
その昔、ドードーという鳥がいました。彼らは、長い年月をかけて、飛べるように進化したことで、大空を舞い、どこへでも自由に行って好きな餌にありつくことができていました。
あるとき、彼らは、アフリカ大陸から海を渡ってモーリシャス島にやってきました。ここは、火山活動によってできた島なので、陸続きだった歴史がありません。
そのため、彼らの天敵は、いませんでした。彼らにとっては、のんびり安心して暮らせる楽園だったのです。
また、島は、植生も豊かだったので、彼らは、栄養満点の果実や球根などを毎日たっぷり食べて、脂肪を蓄えていきました。そして、体が大きくなり過ぎた結果、ついに、彼らは、進化の過程でせっかく得た飛ぶ技能を失いました。
しかし、ドードー自身は、飛べなくなったことを気に留めることはありませんでした。以前のように飛ぶ必要がなかったからです。「空を飛べなくてもいい」と思うにとどまらず、「速足で逃げなくてもいい」ことも分かっていたので、どちらの機能も退化しました。
しかも、地面に巣を作るようにしていたくらい警戒心が弱まるとともに鈍感さを身に付けてしまっていたので、大航海時代に島を訪れた人間たちが連れてきた家畜にあっという間に卵を食べられてしまいます。
飛ばなくてもいい、走らなくてもいい、考えなくてもいいというのんびりした生活から抜け出すことができなかったドードーは、こんな理由で絶滅しました。
「努力を実現するために、人間に先天的に与えられている機能、それが遊びなのだ」と、オランダの歴史学者ホイジンガは言いました。人類が、進化の過程で二足歩行を勝ち得た歴史はまだまだ浅いので、これを退化させてはなりません。