保健領域を健康教育の中心に置く
運動領域には、これといった時数が定められていませんが、保健領域だけは各学年で必要な時数が定められています。
以前は、保健の教科書がなく、学校でどう扱うのか分かりにくい領域とされていました。各学校で副読本を購入して使っていたことはありましたが、学習としては薄っぺらで、知識を注入しているに過ぎないような授業ばかりでした。
そもそも子供も指導者も、「体育イコール運動」という認識が強かったからです。
そのため、「せっかく校庭での体育なのに、雨が降ったから保健でもやるか~。」という程度の扱いでしかありませんでした。しかし、それでも扱われるならまだいいほうで、実情としては、「保健なんて保健の先生が指導するんだから、やんなくていい。」というレベルだったのです。
保健には性に関する内容も含まれておりデリケートな感じがするため、担任は、敬遠がちでした。さらには、「中学校は、『保健体育』だから保健を当然やるけれど、小学校は、『体育』だから、保健はやらなくてもいいんだよ。」と、うそぶく教員もいたほどです。
平成元年版の学習指導要領から、1・2年生の社会科と理科が無くなって生活科になったため、その余った費用で作られたのが保健の教科書です。教科書ができたため、それまでのように適当に済ませるわけにいかず、授業時数を確保するよう迫られることになりました。
また、このときから、体育科の目標に「心と体を一体として捉え…」という文言が入り、心の健康についても扱う保健領域の重要性が広まるようになったのです。