「その場は、もう、必要なくなったのか」を問う
個別最適な学びの保証に欠かせないのは、子供一人一人の学習課題を解決できるようにするための場の設定です。
子供が、めあてを達成できるようにするためには、条件を易しくした場をいくつか用意してその動きにチャレンジできるようにしておきます。「主体的な学び」の実現のために行おうとするこれらの場の設定は、子供の実態に応じて考えますが、子供自身に学習課題を見出せていない段階では、「こんな場を用意したから、こんな人はここで練習できますよ」と子供たちに紹介するに留まります。
すると、せっかく指導者が子供たちのこと思って考えに考え抜いた末に提示した場も、子供一人一人のめあてに対応した場は異なるので、子供がたくさん集まってしまう場もあれば、少しも活用されない場もでてきます。前時には多くの子供が使っていた場でも、本時では「今日は、空いてるな~」と思うこともしばしばです。
逆に「この前は、この場は、あまり人気がなかったのに…」というケースもあります。特に、子供自身が自分の学習課題が明確でないときには、どこの場が課題解決に適切な場なのかを判断できないので、「楽しそう」「〇〇ちゃんと、いっしょ」などの理由で場を選択しているからです。そのため指導者は、子供が自分の課題を解決できるような場を選択できるように導かなくてはなりません。
また、単元が進むにつれて子供たちの学習課題は明確になり、変わってもきます。このとき指導者には、どの場は必要でなくなったのか、新しい場が必要とされていないかなど、子供の学びの状況を把握して場の設定を変えていく判断力が求められます。
単元の最初にいろいろな場を設定すれば、あとは子供たちが自分で学習課題を解決するだろうという仮説は、「主体的な学び」を間違って解釈していると言えます。