自分で自己決定できるようになるまで
主体的・対話的で深い学びの実現のための授業改善を進める中で、学習課題を子供自身が見い出すことができるようにするには、どのようにすればよいでしょうか。
子供たちの興味や関心に基づいた「めあて」が持てるようにするための内発的動機づけこそが、指導者の重要な役割りの一つであることには変わりありません。そのため、「外発的動機付けは主体的な学びとしては好ましくない」という考え方もできなくはないです。
内発的動機づけからの自己決定に依拠する学びは、最もレベルの高い段階なので、指導者であれば誰もが「そのような授業をしたい」と思っています。しかし、初めから内発的動機づけだけで人は学ぼうという気持ちにはなかなかなりません。
たいていの場合、最初は、何かしらの外的刺激があって「じゃあ、ちょっと、やってみようかな」となるからです。そのような活動であっても、その活動が子供自らの意思と判断によって自己決定されたものであるなら、あながち外発的動機づけも悪者扱いされることはないのです。
内容のまとまりごとや単元の中では、その初期段階において外発的動機付けにより、「とにかく、やってみよう」という気持ちにさせることは、一つの方法です。そこから自己決定のより高い水準に向けて、学びの内容の価値を自分のものに内在化していくというプロセスが重要となります。
最初は「先生に言われたから」とか「恥をかきたくないから」といった外発的動機付けによって仕方なく取り組んでいる状況が見られることはあります。しかし、そこから、「自分にとって楽しいことだから」「その課題をクリアすると意味があるから」といった内発的動機付けによって楽しく学んでいる段階へと子供たちの学びを移行させることになります。そのような学習過程を組むことで、主体的・対話的で深い学びが実現することも期待できます。