内発を引き出す外発による「やってみよう」からのスタート
遊ぶことは、子供にとって人間を形成する上で最良の手段と考えられます。
なぜなら、遊ぶことは、子供たちがそれぞれ自已の内部にもっているものを自由に外部に向かって表現し、発散させるものであり、子供にとって純粋な表現そのものだからです。子供たちは遊ぶこと自体が目的であって、何かを手に入れるための手段として遊びをしているわけではありません。遊びに見返りは求めていないのです。
小さい子供ほど、かけっこをすること自体が楽しいので、競走で相手に勝つことにはそれほど関心がありません。目の前の景色の変化を楽しんだり、くねくね走などでは脳の揺れを感じたり、友達と一緒にやったりすることが、知らないうちに学びの中心となっていきます。
これが、内発的動機付けです。この世代の子供には、「やってみよう」というきっかけ作りを内発に求めやすいと言えます。
年齢が高まるにつれ相手意識が芽生えてくると、競走して勝ったり記録を向上させたりするご褒美を求めるようになってきます。この外発的動機付けによる運動は、その見返りが必ずあるわけではありません。
いつでも勝てるわけではないですし、また、いつでも記録が伸びるわけでもありません。外発的動機付けによって運動を誘発しても結果がついてこないと、そのうち意欲は減退していきます。
5・6年生になると「いくら練習しても記録が伸びない」と感じるようになります。走っていることそのものが楽しいと感じていた1・2年生の自分から卒業しているからです。ここに「内発を引き出す外発」を旨とした指導の改善の余地があります。