体育という教科は、ほんとうに必要なのか?

子供の学び学習指導要領,技能,指導者

体育の技能の中には、それ自体が結果として生涯に役立つものもあります。しかし、技能を学習することのねらいは、「将来、役に立つか否か」ではありません。

この考え方で体育の技能を捉えてしまうと、「嫌いなのに、できないのに、なぜやらなくてはいけないの?」という疑問だけが残ってしまいます。たしかに、逆上がりを楽しむ大人には、あまりお目にかかれませんし、逆上がりで身に付けた技能が何の役に立っているのか実感できません。

体育の最終的な目的は、豊かなスポーツライフの実現です。そのためには、①運動が大好きになる、②仲間と一緒に楽しむ、③運動が上手になるための工夫をする、④基本的な易しい技能を身に付けて、生涯にわたって自立して運動に親しむ、そして、⑤子供の体の発達特性に応じた必要な運動感覚作りをする、などが具体的な目標です。①~④は内容的な目標、⑤が発達的な見地からの目標です。

「将来、役に立つか否か」の考えは、人生の目標が与えられた中で、社会のシステムに機能的に合理化する、その目標に向かっての努力の効率化を図る必要があった時代の教育観、つまり、目標達成型人間の育成を目指した時代である昭和40年代の話です。

今の生涯スポーツの観点に立って考えると、学習の基本は自己実現です。そのため、学習活動そのものが重視され、自己の興味・関心をもとに今もっている力で楽しんだり、自分の力で考え解決したりしていく時代の教育観となりました。ここに、めあて学習の妥当性があり、そのための主体的・対話的で深い学びが必要とされているのです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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