「個別最適な学習課題」を見出せるような指導
令和の日本型学校教育のなかに示された個別最適な学び。子供の主体的な学びが保証されるには、個別最適な学習課題を見出すことができるよう指導することが、指導者の役割であると言えます。
第5学年での跳び箱運動の単元の1時間めを「今もっている力は、どのくらいか」を調べる時間として設定するケースがあります。一人一人が自己に合った学習課題を見出すことができるようにするためです。
跳び箱運動をやることは決められていますが、「やってみる」技は選べるようにします。子供たちは、4年生までに身に付けた汎用性のある資質・能力を生かしながら、それまで経験した見方・考え方を働かせて、学習課題を探っていきます。
ここでAさんが「4年のとき、開脚跳びがやっとできた感じだったから、今回は、少し膝が伸びたかっこいい跳び方をやろう。」という学習課題となった場合、すでに課題を選択している状況になります。また、Bさんが「抱え込み跳びっていう跳び方もあるんだな。どうやって跳ぶ感じなんだろう? まず、この技に挑戦してみよう。」という学習課題であれば、目標を設定していることになります。
技能に関しては、開脚跳びがやっとできただけのAさんより、抱え込み跳びにチャレンジするBさんの方が、おそらくレベルが高いでしょう。一方、二人の学習課題を比較すると、技能についての課題を明確にしているAさんのほうが、技を選んでいるだけのBさんよりレベルが高いようにも思えます。
しかし、この二人は、いずれも「自分が今もっている力を分析した結果、学習課題を設定できている」状況と言えるので、それぞれが個別最適な学習課題を見出すことができたと考えられます。