現代っ子は、ほんとうに50mを走り切れるのか?

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「50m走」は、学習指導要領にその記載がありません。だからといって、やらなくていい運動ではありません。学習指導要領には、走る距離が定められていないだけです。

1~4年生の「かけっこ」では、「いろいろな方向に走ったり」「調子よく走ったり…」が学習内容なので、「3年生だから50mだな~。」と決まっていません。記録(タイム)を計るなどして「一定の距離を全力で走ったり…」するなどの課題解決をしていく5・6年生の「短距離走」も、「一定の距離」と記載しているだけで、「6年生だから80m走にしよう。」とはなっていないのです。

「短距離走」について平成29年版学習指導要領の解説には、5・6年生は「40~60m程度」と例示されています。あくまでも距離は、解説の例示レベルの話です。しかし、学習指導要領が改訂されるたびにこの距離は、短くなっています。実際に、平成20年版では「50m~80m程度」、元年版では「80m~100m」でした。

さらに前の昭和53年版で3年生の例示に「50m全力走」と記載があったことを考えると、約40年間に3学年分、走る能力の低下が進行したことになります。6年生であっても50mのゴールまででさえ全力で走り切れない子供が増えたため、すべての子供が学ぶ内容として示すには、その距離を短くせざるを得なかったのです。

運動会で未だに「6年生の短距離走が100m」という学校も見られます。「やっぱり、6年生の100m走は、迫力があるな。」などと保護者や地域からの声もあって変えられないのでしょう。しかし、このことは、時代が変わったことを認識できていないか、昔ながらに囚われてばかりで今の子供の実態を把握できていない可能性があります。

「50m走」の記録を計らなければならない理由はスポーツテスト以外には無いので、5・6年生が、40mの距離を「短距離走」として学んでもいいことになります。「短距離走」で子供たちは「自己や仲間の動きの変化や伸びを見付けたり、考えたりしたことを他者に伝えたりする」ので、走ったタイムを互いに計り合う活動を取り入れながら学習を進めていきます。そのため、指導者が子供のタイムを計ってあげることは、子供が学ぶべき内容を奪っていることになってしまいます。

なお、「短距離走」は「リレー」と関連付け「短距離走・リレー」として、平成元年度の学習指導要領から同じ単元で扱うようになりました。「短距離走」に対する関心や意欲を高めることができることや「リレー」の中で「短距離走」の能力の高まりが期待できるからです。「リレー」をする場合には、減速が少なくなるような距離のテークオーバーゾーンを確保しなければならなくなるので、一人が走る距離が40mでは、ちょっと短い感じもします。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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