バトンは、どっちの手で渡す?
すべての学年の学習内容となっている「リレー」は、子供たちに人気の運動のひとつです。走ることにあまり自信がない子供でも、チームの中で勝つことを味わえるからです。そのため「○○が、遅いから負けたんだ。」というようなことを絶対に言わせてはならない運動でもあります。
ところでバトンパスは、どちらの手で渡し、どちらの手で受けるのがいいでしょうか?
運動会のリレーでは、4チームが一緒に走ってバトンゾーン内がオープンコースになる方法がほとんどです。このとき「左手渡し→右手受け」となるとどうでしょう。次走者にバトンを渡した後、自分のすぐ右側を追い抜いていこうとするほかのチームの次走者のじゃまになってしまいますね。
逆に「右手渡し→左手受け」なら、バトンを渡した後にインに入ってしまえば、ほかのチームのじゃまにはなりません。つまり、運動会に限っては「右手渡し→左手受け」のほうが合理的でより安全な方法と言えます。しかも、コーナートップを確認するのにも、右手で受けるとなると肩や首をぐるっと右後方にひねらないと見えないので、「左手渡し→右手受け」は、大変です。
やってみると分かることですが、そもそもバトンを左手で受けることには、何か違和感があるはずです。左利きの人でも、同じような感じがするのは、多くの学校で「右手で渡す。」「もらう人は、左手を開いて腰に付けて!」「もらったら右手に持ち替えて!」という指導しかしていないからです。
しかし、「右手渡し→左手受け」にしなければならないというきまりは、どこにもないので、バトンの受け渡しをする二人さえ合意していれば、右で受けても左で受けてもどちらでもいいことになります。ただし、「左手渡し→左手受け」や「右手渡し→右手受け」は、受け渡しをする走者同士の足がぶつかる可能性が高くなるので、やらないように子供に伝える必要があります。
指導者が、バトンパスを「右手渡し→左手受け」でなければいけないように思ってしまうのは、運動会でのバトンパスの方法が基本となってしまっているからです。体育の学習でリレーの学習課題を記録に挑戦することを中心に考えれば、運動会のように4チーム一緒に走ることは考えにくいので、そうなると、どっちの手でバトンを渡すかも子供たちが考えることになります。